大晦日の小話【2025年12月31日更新】|静岡県沼津市・三島市・富士市・静岡市の外壁塗装・屋根塗装専門店 塗替え情報館
2025.12.31 (Wed) 更新
【2025年12月31日更新】
皆さん、おはようございます。
ついに大晦日になりました。
2025年の一年間、塗替え情報館へのご愛顧に感謝しています!
来年もまた、宜しくお願い致します。
さて、2025年の最後を締めくくるのは、「大晦日にまつわるほっこりした小話」を紹介します!
年の瀬の「よろず甘味処」と、最後の注文
1.帳を閉ざす夜
師走の風が吹き荒れる東京の片隅、古い木造家屋が肩を寄せ合う静かな路地に、「よろず甘味処」とだけ書かれた小さな暖簾が揺れていた。
店主は源(げん)という、白髪交じりだが目の奥に穏やかな光を宿した男だ。
この甘味処は少々変わっていた。
店の品書きには、ぜんざい、あんみつ、みたらし団子、と普通の和菓子が並ぶのだが、源は客の「一年間の心の疲れ」に応じて、その日の最高の一品を出すことで知られていた。
例えば、仕事で大きな失敗をした客には、甘さをギリギリまで控えた「悔悟のようかん」を。
遠く離れた家族を想う客には、口の中で溶けて過去の温かい記憶を呼び覚ます「追憶のこしあん」を。
常連客の間では、源の甘味が「一年を締めくくる心の薬」と囁かれていた。
しかし、今年の12月31日、源はこの甘味処を閉じることに決めていた。
老朽化と、何より源自身が「そろそろ、一休み」の時だと感じたからだ。
大晦日の午後8時。
外はもう雪がちらつき始めている。
普段なら年越し蕎麦を食べ終えた人々で賑わう時間だが、源は暖簾を下ろし、静かに閉店を告げる木札を返した。
「ふう。今年もよう働いた」
源は店の奥にある小さな神棚に手を合わせ、今年の感謝を捧げた。
店を掃き清め、火鉢の残り火を慈しむように見つめていると、障子の向こうで「からん、からん」と、戸が開く音がした。
「すまんな。もう、店仕舞いなんじゃが」
源は振り返る。
そこに立っていたのは、一見してただの客とは違う、黒い着物に身を包んだ、痩身で背の高い青年だった。
年の頃は二十代半ばだろうか。
青年は微笑むでもなく、困るでもなく、ただ静かに源を見つめていた。
「存じ上げております。ですが、どうしても、最後に一つだけ注文させていただけませんか」
青年の声は低く、そして驚くほど澄んでいた。
まるで澄んだ冬の夜空から響く星の声のようだ。
源は少し迷った。彼は客の「心の疲れ」を敏感に感じ取るが、この青年からは、何の感情も読み取れなかったのだ。
それは、疲れがないのか、それともあまりに深すぎて感知できないのか。
「…わかった。だが、これが本当に今年最後の、そしてこの店の最後の注文じゃ。何を所望じゃ?」
青年は店の奥、源の立っていた神棚の方を一瞥してから、静かに答えた。
「…『未来の不安を抱えた、甘味』を」
2.存在しない甘味
源は驚いて眉をひそめた。
「未来の不安、とな? あんた、それは困った注文じゃ。わしの甘味は、あくまで『過去一年間の心の澱(おり)』を清めるためのもの。まだ起こってもいない未来のことなど、どうにもできん」
青年はカウンター席に座り、火鉢の熱を浴びながら、首をゆっくりと振った。
「いいえ。あなたはご存じのはずです。不安というものは、未来からやってくるのではなく、むしろ『過去の経験が織りなす、未来への恐れ』ではないかと。私の一年間は、来るべき未来に対する恐れで満ちていました」
そして、青年は続けた。
「源さん。あなたは、この街の移り変わり、人の心の機微を、長い年月見続けてきた。この店を閉じる、というのも、きっと何か『来たるべき大きな変化』を感じているからではないですか。その『予感』を甘味として昇華できるのは、あなたしかいない」
源は椅子に深く腰掛けた。
青年の言葉は、図星だった。
この街の空気、人々の目つき、全てが変わってきている。
源は、もう自分の甘味では、人々の抱える「次の時代の悩み」を癒せないのではないか、と感じ始めていたのだ。
「あんた、一体何者じゃ」
「私は…この街を通り過ぎる、一介の旅人にすぎません。ただ、大晦日のこの時刻に、あなたに会う必要があった。そう感じています」
源は青年の瞳を見つめた。
その奥に、自分が今まで出会った客の誰とも違う、広大な、しかしどこか虚ろな光を感じた。
彼は、得体の知れない何かに動かされているのを感じながら、立ち上がった。
「わかった。店仕舞いの札を返したばかりだが、特別じゃ。だが、待たれよ。こんな奇妙な注文に応えるのは、初めてじゃからの」
源は厨房に入り、頭の中で「未来の不安」という抽象的な概念を、具体的な「味」へと翻訳しようと試みた。
未来の不安…それは、期待と、諦念(ていねん)と、そして希望という小さな光の混合物だ。
彼は、白く炊き上げた餅米と、透き通るような白砂糖を取り出した。
3.「明けない夜の道明寺」
源は30分かけて、一つの菓子を作り上げた。
それは、桜餅に使われる道明寺粉を、あえて着色せず、真っ白に仕上げたものだった。
中には、少し塩気を効かせた白餡を包み、その上に、極小の金箔を三つだけ、そっと乗せた。
彼はそれを、黒い漆器に載せて青年の前に出した。
「さあ。これが、わしの答えじゃ」
青年は静かに手を合わせ、「いただきます」と小さく言って、菓子を箸で半分に割った。
外側の道明寺粉は、甘さが控えめで、口に入れると、わずかながら抵抗感がある。
それは、未来に進むことの難しさ、道のりの長さを表しているようだった。
中の白餡の塩気は、予期せぬ困難や、挫折の苦さを象徴していた。
そして、青年が、その一切を飲み込んだ直後、口の中に残った金箔が、微かな甘みと、舌触りの異物感として主張した。
青年はゆっくりと目を閉じ、そして、静かに開いた。
「…これは…」
源は静かに説明した。
「名付けて、『明けない夜の道明寺(どうみょうじ)』じゃ。外は、新しい一年を表す真っ白な道明寺。だが、噛むと、過去の記憶の塩気が蘇る。不安というのは、過去の失敗を未来に重ねるから生まれるのじゃ」
「だが、よう見てごらん。この金箔は、『希望』じゃ。不安の塊を飲み込んだ後に、微かに残る、キラリと光る期待。それは、大きく、はっきりとしたものではない。たった三つの粒。だが、それが、再び歩き出すための燃料になる。希望は、大きくなくても良い。ただ、口の中に残っていることが肝心じゃ」
青年は、残りの半分をゆっくりと食べ終えると、目を潤ませた。
「源さん…私は…私は、ある星の滅びを予感しています。その未来を覆すために、この一年、手を尽くしてきましたが、無力感だけが残りました。私はこの街にいる全ての命が、次の年も、その次も、安らかであることを望んでいます…」
青年は、そこで言葉を詰まらせた。
彼の正体は、この街の繁栄と人々の営みを見守る、「時の流れ」そのものを司る存在だったのかもしれない。
彼は、自分の役目が終わる時、あるいは、大きな転換点に、どう対処すべきか、その答えを求めていたのだ。
源は静かに茶を注ぎ足した。
「どんな大きな流れも、最後は一服の甘味で区切るものじゃ。滅びを予感しようと、大転換が来ようと、あんたが飲み込んだその『希望の金箔』を忘れなければ、次の時代も、人は笑い、菓子を食べる。わしがここで見続けたのは、人の生命力じゃ。それは、時の流れでも、滅ぼせん」
4.変わらない願い
青年は深く一礼し、立ち上がった。
「…ありがとうございました。この甘味は、私が、また一年、この街を見守り続けるための、糧になります」
青年は、小銭をカウンターに置き、そっと店の戸を開けた。外は、本格的な雪になっている。
青年が雪の中へ消えていくのを見届け、源は静かに戸を閉め、木札を返した。
これで、本当に店仕舞いだ。
源は、青年が残した小銭を数えた。
それは、注文した甘味の値段と、ぴったり同額だった。
その時、外から、除夜の鐘の音が、ゴオォン…と響き始めた。
源は、厨房に戻り、残った白餡と道明寺粉を見て、ふっと微笑んだ。
「さて。わしの不安は、どうしたものかのう」
彼は、もう一つ、同じ「明けない夜の道明寺」を作り、自分で食した。
塩気と、抵抗感。そして、最後に残る三つの金箔の微かな甘み。
源は、それを味わいながら、新しい年、新しい人生が始まることを、静かに受け入れた。
店は閉じるが、人の心から「甘味を求める願い」が消えることはない。
彼は、火鉢の火を静かに消し、店の奥の灯りも消した。
雪が降り積もる路地に、一軒の甘味処の灯りが消え、暗闇の中に、ゴオォン…ゴオォン…と、除夜の鐘の音だけが、遠くまで響き渡っていた。
新しい年を待つ静寂の中で、源の胸には、三つの金箔の輝きが、確かに残っていた。
塗替え情報館の営業について
1.ショールーム閉鎖期間
2025年12月30日(火)~2026年1月4日(日)
- 期間内はショールームでの対応予約を頂いても応じることが出来ません。
- 期間内の現場調査等の対応を行う事が出来ません。
2.電話対応可能期間
年中無休!
- ショールームまたは、アドバイザーへの電話は無休で対応します!
※1の期間は、現場調査・来店等の対応はできませんのでご承知おきください。
3.WEB対応可能期間
年中無休!
- WEBからの問い合わせも、アドバイザーから返答させていただきます。
※1の期間は、現場調査・来店等の対応はできませんのでご承知おきください。
静岡県沼津市・三島市・富士市、静岡市を中心として、静岡県にお住いの皆様におかれましては、塗替え情報館では、お家に関する相談や現場調査、見積提出まで無料で行っておりますので、是非ともご利用ください。
下記(↓)ショールームにお越しください!
皆様にお会いできることを楽しみにしております!

Instagram始めました!
👇アカウントはこちら👇
https://www.instagram.com/nurikaejouhoukan

三島市を中心に静岡県東部の外壁塗装・屋根塗装専門店 塗替え情報館|外壁塗装・屋根塗装のことならお任せ (nurikae-no1.jp)
<清水町本店> 駿東郡清水町堂庭209-5 2階 (清水町役場東隣)
🆓☎:0120-946-090

<富士店> 富士市荒田島町1-5
🆓☎:0120-67-3355


#塗替え情報館#大栄塗装工業#塗装工事#外壁塗装#屋根塗装#付帯物塗装#ショールーム#静岡県#静岡県東部#三島市#沼津市#富士市#静岡市#清水町#裾野市#御殿場市#伊豆の国市#伊豆市#伊東市#熱海市#下田市#富士宮市#長泉町#函南町#小山町#東伊豆町#西伊豆町#南伊豆町#松崎町#河津町#小話#夢のある話














