【2025年12月27日更新】

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　塗替え情報館・清水町本店のアドバイザー、佐野です。

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　本日は「窯業系サイディングボードの特性、メリット、デメリット」をテーマに書いていきます。

　窯業系サイディングボードは、日本の戸建て住宅の外壁材として最も広く採用されている建材です。

　セメント質と繊維質を主原料とし、高温・高圧で成形・養生された板状のボードであり、そのデザインの多様性、施工性、コストパフォーマンスの高さから、圧倒的なシェアを占めています。

　この建材の採用を検討する際には、その優れた特性だけでなく、メンテナンスが不可欠となるデメリットも理解しておくことが重要です。

１．窯業系サイディングボードの基本特性

　窯業系サイディングボードは、主に以下の2つの原料から構成されています。

1. セメント質（無機質原料）: 強度と耐火性を確保します。

2. 繊維質（補強材）: ボードに粘り強さとひび割れへの抵抗力を与えます。

　これらの原料を水で練り、板状に成形した後、オートクレーブ（高温高圧蒸気養生釜）で蒸気養生し、強固なボードとして完成させます。その後、ボード表面に意匠性を高める塗装やコーティングが施されます。

主な特性

• 無機質由来: セメントを主原料とするため、耐火性と耐久性に優れています。

• デザイン性: プレス成形により、石積調、タイル調、木目調など、多様な意匠（デザイン）を表現できます。

• 均一性: 工場で生産されるため、品質が安定しており、施工後の仕上がりが均一になります。

２．窯業系サイディングボードのメリット

　窯業系サイディングボードが外壁材の主流となった背景には、他の建材と比較して非常に多くのメリットがあるためです。

①意匠性・デザイン性の多様さ

　窯業系サイディングの最大の魅力は、その圧倒的なデザインバリエーションです。

• 豊富な柄: 天然石、レンガ、タイル、木材といった高価な自然素材の風合いを、プレス加工と多色塗装技術により忠実に再現できます。これにより、顧客の多様なデザイン要求に応えることが可能です。

• 色と質感: 印刷技術やコーティング技術の進化により、深みのある色合いやマットな質感など、テクスチャー表現が非常に豊かです。

②耐火性の高さ

　主原料がセメントであるため、不燃材料または準不燃材料の認定を受けている製品がほとんどです。

• 万が一の火災の際にも、燃え広がりにくく、火災の延焼を食い止める性能に優れています。これは、防火地域や準防火地域に建つ住宅にとって非常に重要な特性です。

③施工性とコストパフォーマンス

• 軽量性（比較的）: モルタル壁に比べて軽く、厚みも均一なため、現場での切断や取り付けが容易です。これにより、工期の短縮につながります。

• コスト効率: 普及率が高く、大量生産されているため、初期の材料費が比較的安価です。施工費を含めたトータルコストも、タイルや塗り壁などの他の外壁材と比較して、一般的に抑えられます。

④遮音性

　ボードの一定の厚み（12～21mm程度）とボード内部の密度により、外部からの騒音を軽減する遮音性も持ち合わせています。

３．窯業系サイディングボードのデメリットと対策

　窯業系サイディングボードはメンテナンスフリーではありません。

　その特性上、避けられないデメリットがあり、これを放置すると建物の劣化を早めることになります。

①防水性の低さとシーリング（目地）の劣化

　窯業系サイディングボードは、ボード自体には防水性がほとんどなく、水を吸いやすい性質を持っています。

　そのため、ボードとボードの間や窓枠との間に設けられるシーリング材（コーキング材）が、外壁の防水機能を担う上で極めて重要になります。

• デメリット: シーリング材は、紫外線や外気の伸縮により約7〜15年でひび割れ、破断、剥離といった劣化を起こします。この劣化を放置すると、目地から雨水が浸入し、躯体（建物の骨組み）やボードの反り・凍害など、深刻なダメージを引き起こします。

• 対策: 定期的なシーリングの打ち替え（補修）が必須です。高耐久性の変成シリコン系やポリウレタン系のシーリング材を選ぶことで、耐久年数を延ばすことが可能です。

②塗膜の劣化と再塗装の必要性

　サイディングボードの表面は、美観と防水性を確保するために塗装されています。この塗膜は、紫外線や雨風にさらされることで徐々に劣化します。

• デメリット: 塗膜が劣化すると、表面にチョーキング（白亜化）が発生し、防水性が失われます。さらに放置すると、ボード内部への水の浸入を許し、色褪せやボードの反りの原因となります。

• 対策: 塗料の種類にもよりますが、約10〜20年を目安に再塗装が必要です。この再塗装時に、フッ素塗料や無機塗料といった高耐久性の塗料を選ぶことで、次回のメンテナンス時期を大幅に延ばすことができます。

③凍害や熱によるボードの反りリスク

　窯業系サイディングは、水を吸い込むと膨張し、乾燥すると収縮する性質を持っています。

• デメリット: 寒冷地では、ボードが吸い込んだ水分が凍結・膨張することで、ボード表面の欠けや剥がれ（凍害）が発生しやすくなります。また、熱を蓄積しやすい色や直射日光の当たる面では、乾燥と湿潤の繰り返しや熱膨張により、ボードが波打つように反る現象が起こることがあります。

• 対策: 凍害リスクの高い地域では、特に撥水性の高い塗料を使用し、ボードへの吸水を防ぐことが最重要です。また、サイディングの裏側の通気層が機能しているかを点検することも重要です。

④構造上の雨漏りリスク

　サイディングボードは、工場で生産されたパネルを現場で貼り合わせていくため、構造上、目地（継ぎ目）が多いことが特徴です。

• デメリット: 目地や開口部（窓枠など）が多いということは、それだけ雨水の浸入経路になり得る箇所が多いことを意味します。防水の要であるシーリング材が劣化すると、雨漏りや内部結露の原因になりやすいと言えます。

• 対策: 定期的な目地補修に加え、ボードの張り付け時に適切な防水シート（透湿防水シート）が躯体に正しく施工されていることを確認することが、雨水の浸入を防ぐ最後の砦となります。

４．高機能化する窯業系サイディング

　近年、メーカーは上記のデメリットを克服するための高機能製品を開発しています。

これらの高機能製品を採用することで、窯業系サイディングボードの最大の弱点であった「短いメンテナンスサイクル」を大幅に改善することが可能です。

５．まとめと選択のポイント

　窯業系サイディングボードは、「初期コストの安さ」「デザインの多様性」「耐火性」という優れたメリットを持ち、現代の住宅建築には欠かせない外壁材です。

　しかし、そのメリットを享受するためには、「定期的なシーリングの打ち替え」と「再塗装」というメンテナンスが不可欠であるというデメリットを理解し、計画的に予算を計上しておく必要があります。

選択のポイント

• コスト重視の場合: 標準的なシリコン塗装と一般的なシーリング材で初期費用を抑え、10～15年周期でメンテナンスを行う。

• 長期耐久性重視の場合: 初期費用は高くなるが、高耐久性塗膜（フッ素/無機）と高耐久性シーリング材を採用し、メンテナンスサイクルを20年以上に延ばすことを目指す。

　適切なメンテナンスと高性能製品の選択により、窯業系サイディングボードは建物の美観と保護を長期間にわたり効果的に提供することができます。

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