外壁通気工法とは?
2018.10.28 (Sun) 更新
皆さん、こんにちは!
先に、台風や豪雨で被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
弊社にも、雨漏り点検の依頼が少なからず舞い込んできております。速やかな復興を願うばかりです。
さて、今回の情報館通信は「外壁通気工法」についてお話します。
「外壁通気工法」とは何なのか?そしてそのメリットも踏まえてお話ししてまいります。
1.「通気工法」と「直貼工法」の違い
新築時の外壁設置工事には、2種類の工法が存在します。一つが本日話題にしております「通気工法」。もう一つが「直貼工法」です。
「通気工法」とは、外壁材と壁との間に空間を作り、室内の湿気を逃がす工法です。この工法は1980年代に北海道から始まったと言われているそうですが、それまでの工法のメインは「直貼工法」と言われる工法が主流でした。
「直貼工法」とは、読んで字のごとく柱に直接外壁材を設置する工法です。この工法を2000年前まではこぞってどのメーカーさんも採用しております。
しかし現在の主流は、「通気工法」になっております。なぜ「直貼工法」から「通気工法」へと工法が変化していったのでしょうか?
2.「通気工法」の最大のメリット
「通気工法」の特徴は、外壁材と壁との間に空間を作り、室内の湿気を逃がす工法だと、前項でお話ししましたね。では、「直貼工法」はどのようにして湿気を逃がしていたのかが気になるはずです。実は、この点こそが「直貼工法」の最大の弱点であり、問題点なのです。
この左図は、「直貼工法」の問題点を顕著に表しています。つまり、湿気を逃がすという発想はなく、結露として断熱材等に吸収されてしまう状態になってしまいます。また、ひどい風雨の場合はサイディングボードの裏側まで浸水し、その水すら逃げ場がなくなってしまって、サイディングボード自身が吸水し、爆裂などが起こりえたのです。
反対に右図は「通気工法」における壁内結露が起きにくい場合を示しています。水蒸気等は、外壁と透湿防水シートの間から下に流れていきますので、外壁の劣化や室内結露に直結しにくい状態です。長期間住む家だからこそ、安心して住みたいですよね。その願いを叶えるための工法として「通気工法」が採用されています。
現在ではサイディングボードの家は、「通気工法」を採用しないと瑕疵担保保険に入ることができないということもあり、ほぼ100%「通気工法」を採用しています。
3.「通気工法」における防水構造
「通気工法」における防水構造とはどのようなものがあるかを示しますと、外部からの水に対して、
①外壁(サイディングボードなど)による防水機能
②通気層(約10mm~15mm)による防水機能
③透湿防水シートによる防水機能
という3段階で防水機能を確保しています。このように、防水性能上も非常に理にかなっていることがわかります。
また室内からの水蒸気を逃がすのに最も大切なことは、「透湿防水シート」です。水は通さない代わりに、水蒸気は通気層へと逃がしていく優れものです。昔は防水シートが採用されているお宅が多く、室内の水蒸気の逃げ場がなかったため、結露をしたり、断熱材のグラスウールや発泡ウレタンが水を吸ってしまい、機能しないなんて話をよく耳にしました。しかし、この「通気工法」と「透湿防水シート」により、それらの問題点もほぼ解消された言っても過言ではありません。
4.まとめ
「通気工法」のメリットを多く述べてまいりましたが、「直貼工法」がなくなったわけではありません。
例えばALCに代表されるパワーボードは、「直貼工法」が採用されることは多いです。パワーボード自体が水蒸気を通しやすく、防水性も高いからです。また、パワーボードは構造材としての性能や、断熱性能も高いので、「直貼工法」で施工することのメリットは大きいのです。
ただし、この「通気工法」のことを知らないまま中古住宅を購入され、雨漏りや結露に悩んでいらっしゃる方がいることも事実です。
ぜひ多く知識を蓄えて頂き、安心した実りある生活につなげて頂く事を願っております。
「塗替え情報館」では、現場調査の際には、築年数が20年以上のお宅には必ずこの「通気工法」のチェックを行っております。
塗装をお考えの方々は、このような知識が豊富な弊社に、是非ご用命ください。
お待ちしております!